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ポルシェ 911の画像

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ポルシェ 911とは

ポルシェ911(ポルシェきゅういちいち、英語:Nine Eleven 、ドイツ語:Neunelfer )はポルシェのスポーツカー。ポルシェ・356の後継車種。RRの駆動方式を取り、現代に至るまでポルシェのみならずスポーツカーを代表する名車とされる。

目次

  • 1 タイプ7
  • 2 初代 901型(1963年-1974年)
  • 3 二代目 930型(1974年-1989年)
  • 4 三代目 964型(1989年-1993年)
  • 5 四代目 993型(1993年-1997年)
  • 6 五代目 996型(1997年-2004年)
  • 7 六代目 997型(2004年-)
  • 8 インターミディエイトシャフトの破損について
  • 9 脚注
  • 10 関連項目
  • 11 外部リンク

タイプ7

1956年にスタートした356の後継車プロジェクトはフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェを中心に室内スペースを広く取るためホイールベースを延長し2+2シートを確保[1]するという骨格のもとで進められ、試作車が3〜4台製作された。プロジェクトはエルヴィン・コメンダに引き継がれ、一時は大型4人乗りモデルも検討されたが、最終的に2+2のコンパクトクーペに落ち着いた。

901型

初代 901型(1963年-1974年)

1963年356の後継車としてフランクフルト・ショーでプロトタイプがデビューし、1964年から本格生産に入った。当初は開発コードそのままに「901」と名乗っていたが、プジョーが3桁数字の真ん中に0の入った商標をすべて登録しておりクレームを入れたため「911」と改めた。初代生産型は開発コードの901からそのまま901型と称され、部品番号の冒頭にも901が入っている。通称「ナロー」。日本にはミツワ自動車により1965年より輸入されている。技術担当重役はF.トマラ、エンジン開発主任はフェルディナント・ピエヒ、スタイリングはフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェが担当した。

エンジンは新たに開発された901/01型が搭載されていた。ボア×ストロークはφ80mm×66mm、DOHC[2]水平対向6気筒で排気量1,991cc[3]、圧縮比9.0で130馬力/6,100rpm、17.8kgm/4,200rpm。総アルミニウム合金製のクランクケース、チェーン駆動[4]されるカムシャフト、ドライサンプ[5]、鉄をアルミフィンで包んだバイラル構造シリンダー[6]、軸流式冷却ファン[7]等が特徴点として挙げられる。キャブレターはソレックストリプルチョーク40PIオーバーフロー型をツインキャブで採用していた。クラッチはフィヒテル&ザックス(Fichtel & Sachs 、現ZF)製φ単板ダイアフラム式。ホイールベースは2,211mm。オルタネーターは490W。1967年のフランクフルト・ショーでタルガモデルが発表された。

1969年モデルでは全車ホイールベースを2,268mmに延長して操縦性が大幅に改善された。また185/70VR15タイヤと6J15inホイールを納めるためにホイールアーチがつくようになったため、これ以降「ナロー」との俗称を使わない人もいる。

  • 911 - プロトタイプは高度な職人が個々に作っていたので問題が起こらなかったが、大量生産を始めるとサスペンション調整に関する公差[8]を守れず、初期の製品は非常にハンドリングが神経質であった。このため11kgの鋳鉄製錘2つが「バンパー補強材」の名目でフロントバンパー両側に取り付けられた。初期搭載されていたソレックス製キャブレターは2500〜3000rpmでパワーが出ず、ソレックスの工場に職員が派遣されたが効果は上がらず、1966年2月からウェーバー401IDA3C/40IDA3C1に変更され、これによりエンジン形式名が901/05型となった。初期のトランスミッション901/0型では5速使用時公表最高速210km/hに6400rpmで達していたが、安全回転限界6800rpmを有効に使用するため1965年7月にギアが低く変更され、トランスミッション形式名が902/1型となった。1968年セミオートマチックトランスミッションであるスポルトマチックの設定がされた。
  • 911S[9](1966年7月25日発表、1967年発売) - 軽合金鍛造ピストン採用、バルブ大径化とオーバーラップ引き上げ、ポート大径化、圧縮比9.8で160馬力/6600rpm、18.2kgm/5200rpmの901/02型エンジンを搭載し、リアトレッドを拡大されたモデル。トランスミッションは5速のみ高くし911用を流用している。新型のヒートエクスチェンジャーが使用され、暖房が効くようになった。1968年7月から燃料供給がボッシュ製メカニカルインジェクションに変更され170馬力/6800rpm、18.5kgm/5500rpmに向上するとともにリアウィンドーに熱線が入り、オルタネーターが770Wに大容量化されている。1969年8月ボアをφ84mmに拡大し排気量2,195ccで190馬力/6500rpm、20.3kgm/5200rpmの911/02型エンジンに置換した。
  • 911R(1967年限定発売) - デュアルイグニッション、特殊軽合金製シリンダーの採用、圧縮比10.3、バルブのタイミング変更と大型化、ウェーバー46IDAキャブレター採用等ポルシェ・906とほぼ同等のチューニングを受け210馬力/8,000rpm、21kgm/6,000rpmを発生する901/22型[10]エンジンを搭載した。ボディーは非常に軽量化され800kg。先行試作3台と量産20台、計23台が生産された。量産型は製造をカール・バウアが担当し、窓が薄く軽量化されている等細部が異なる。また量産型のうち数台はワークスに残ってレースに参戦した。
  • 911L(1968年発売) - それまでの911を改称し、ボア×ストロークφ80mm×66mmで排気量1,991cc、圧縮比9.0でバルブオーバーラップを低くしながら130馬力と従来通りのスペックを確保した901/06型エンジンに置換された。
  • 911T[11](1968年発売) - 圧縮比8.6で110馬力にデチューンされた901/03型エンジンを搭載した廉価版。鋳鉄にクロムメッキを施した旧式のクローマルシリンダー、ピストンはアルミダイキャスト、クランクシャフトは鋳造[12]と各所でコストダウンされているが、これらのコストダウンはレース車輛への改造を念頭に、すなわちレース車輛でさらに高価なパーツに交換しなければならない、もしくは改造されることが多い箇所に限定されており、レースでもそのまま使用するシリンダーヘッドや吸排気バルブは、低出力エンジンであるにも関わらず全く911Sと同一である。1968年セミオートマチックトランスミッションであるスポルトマチックの設定がされた。1969年8月ボアをφ84mmに拡大し排気量2,195ccで125馬力/5800rpm、18.0kgm/4200rpmの911/03型[13]エンジンに置換した。
  • 911E(1969年発売) - 911Lからの改名。ボッシュ製インジェクションを採用し140馬力/6600rpm。リアウィンドーに熱線が入り、オルタネーターが770Wに大容量化されている。1969年8月ボアをφ84mmに拡大し排気量2,195ccで155馬力/6200rpm、19.5kgm/4500rpmの911/01型[14]エンジンに置換した。
  • カレラRS(1973年限定生産) - グループ4のホモロゲーションを取るために911Sをベースに当初500台が限定販売されたもので、ボディを軽量化し、ボア×ストロークφ90mm[15]×70.4mm、排気量:2,687cc、圧縮比8.5、210馬力/6,300rpm、26kgm/5,600rpmの911/83型エンジンを搭載した。ツーリング、スポーツ、レーシングの3グレードがあり、スポーツグレードの重量は960kg。当初の生産台数はすぐに売り切り、1,000台以上が追加生産されたためグループ3のホモロゲーションも得た。日本に正規輸入されたのはスポーツグレードのみで14台。「73カレラ」と俗称され名車として現在まで語り継がれている。
  • カレラRSR - カレラRSをレース用に改造したもので排気量2,806cc、300馬力/8,000rpm、30.0kgm/6,500rpmの911/72型エンジンを搭載している。

1972年には厳しくなる排ガス規制に対応するためストロークを70.4mmに延ばして排気量は2,341ccとなり、またホイールベースが2,271mmに拡大された。

二代目 930型(1974年-1989年)

930型

1974年モデルは、米国の連邦自動車安全基準(Federal Motor Vehicle Safety StandardFMVSS)のバンパー強度規定Std215に従った5マイルバンパーが装着され、外観が一新された。大きなバンパーが付いたことから、1974年から1989年までは「ビッグバンパー」と俗称される。930という名称は本来ターボモデルを指すものであり、ビッグバンパーであってもNAモデルは1977年モデルまで901型のままである。

グレードは従来の911Tに当たりボッシュKジェトロニックで150馬力の911、従来の911Eに当たりKジェトロニックで175馬力の911S、従来の911Sに当たり機械インジェクションで210馬力の911カレラの3グレードが901型のまま全車種2,687ccエンジンを搭載し販売された。ボディの種類はクーペと脱着式のルーフをもつタルガの2種類。トランスミッションは当初915型と呼ばれるポルシェ内製トランスミッション(ポルシェシンクロ)を採用した。

1976年から全車種亜鉛メッキで防錆処理された鋼板を採用し、ボディの耐久性が大幅に向上した。また911Sがラインナップから外された。

1978年にはNAモデルもタイプ930となった。エンジンは圧縮比8.5、180馬力。この年新潟県警にパトロールカーとして配備され、20年近く活躍したことが知られている。

1982年にはインタークーラーを装着し、排気量も3.3Lとなる。

1983年に356で人気のあったオープンモデルであるカブリオレが復活した。

1984年にはボア×ストロークφ95mm×74.4mm、排気量3,164ccエンジンとなり、Lジェトロニック(フラップ式)を採用した。馬力も1973年のカレラRSを超えたことから、かつてレーシングモデルにのみ与えられていたカレラの名称は以降NAモデルの名称として使用されるようになった。

1985年以降はフロアパンとバルクヘッドの板厚が0.75mmから1mmにアップし、剛性が向上した。

1987年からはNAモデルがボルグワーナー式のゲトラグ製G50ミッションを採用した。北米市場の要望によりオープンボディのカブリオレ及びタルガがターボモデルにも追加された。

1988年にはコンロッドボルトが強化され、ブレーキパッドがアスベストフリーとなった。

1989年911ターボのトランスミッションが5速のゲトラグ製に変更されている。

  • カレラRS(1975年限定発売) - 109台生産され、うち50台以上がカレラRSRに改造された。燃料供給はボッシュメカニカルインジェクション、ボア×ストロークφ95mm×70.4mm、排気量2,994cc、圧縮比10.3で230馬力/6,200rpm、28.0kgm/5,000rpmの0911/77型エンジンを搭載、ブレーキは917から流用している。ボディ重量は900kg。
  • カレラRSR(1975年限定発売) - カレラRSをレース用としたもので、デュアルイグニッションを備え330馬力/8,000rpm、32.0kgm/6,500rpmの911/75型エンジン、または315馬力の911/74エンジンを搭載、ブレーキは917から流用しカムシャフトは906から流用している。ボディ重量は900kg。1975年には出力が345馬力まで向上している。
  • 911ターボ(1975年発売、1976年日本発売) - 1973年フランクフルト・モーターショーで「911ターボ」試作車が展示され、280馬力で最高速度280km/hとアナウンスされていた。1974年パリサロンに「930ターボ」試作車が展示された。生産車はボア×ストロークφ95mm×70.4mmの930/50型エンジンを搭載、圧縮比6.5、KEジェトロニックで260馬力/5,500rpm、35.0kgm/4,500rpm。大パワーに対応するタイヤを納めるべくフェンダーを備え全幅は1,775mmまで拡げられた。1978年モデルからはボア×ストロークφ97mm×74.4mm、排気量3,299ccに拡大され圧縮比7.0で300馬力、42.0kgmを発揮した。カタログ上の名称は1978年「ターボ」、1979年「930ターボ」、1980年「911ターボ」と変遷しているが、特別大きな変更はない。豪華な内装をもつ高性能スポーツカーとして高価格ながら販売は好調であった。ポルシェは「ありあまるパワーには4速で十分[16]」と説明しトランスミッションは当初4速MTであった。日本では1981年から一時輸入が途絶えたが1983年末に285馬力となったモデルが輸入再開された。1989年964型移行に際し再び輸入中止された。
  • 911リミテッド(1976年限定発売) - 創業25周年を記念し500台限定。
  • 911SC(1978年発売) - 従来の911Sに当たる。
  • 911SCS(1978年発売) - 従来の911カレラに当たる。
  • 911ターボ・フラットノーズ(1988年限定発売) - リトラクタブルライトとすることで空力を改善し、330馬力エンジンを搭載したモデル。
  • 911ターボS(1989年限定発売) - 330馬力エンジンを搭載し足回りも強化され少数製造された。

三代目 964型(1989年-1993年)

964型

相変わらず北米市場での人気は高かったものの、顧客数の増大は新たな要求を生み、それに応えるためにはアップデートが必要な時期に来ていた。さらにその後継車は911シリーズのイメージを継承する必要があり、外観を大きく変えることが許されなかったため、1989年にデビューした964型は、930似の外観をまとってはいるものの、80%ものパーツを新製するといった手の込んだ手法を採ることとなった。なかでも特筆されるのは、ボディー構造が一般的なモノコックとなったことと、サスペンションのスプリングが全てコイルスプリングに変更されたことの2つである。これにより一気に現代的なハンドリングを得ることに成功、「最新のポルシェは最良のポルシェ」という言葉の価値を一層高める一助となり、エンジニアの多大な労苦は報われることになった。排気量は3.6Lとなり、4WDに対応するためフロアセンターは高くなっている。

  • カレラ4(1989年発売) - 964型になった最初のタイプ。遊星ギアによるセンターデフを持ち31:69に固定されたフルタイム4WD機構を持つ。
  • カレラ2(1990年発売) - カレラ4を2WDに簡略化したタイプ。マニュアルシフトモードを持つAT、「ティプトロニック」が搭載された
  • 911ターボ(1991年発売) - 大掛かりなモデルチェンジとなった964型では当初ターボモデルの開発が追いつかず、カレラ2ベースのシャシに930型から流用した3.3LのM30エンジンを320馬力、45.9kgmと大幅に出力向上して搭載しデビューした。
  • ターボS IMSA - レース部門を中心に開発された限定車。これこそ新世代のターボとの賞賛をもって受け止められた。
  • カレラRS(1992年発売) - カレラ2のボディを補強した上で、後席、エアコン、セントラルロッキングシステム、パワーステアリング、オーディオを省略し、トリム、シート、エンジンフッド、ホイール[17]、フライホイール等が軽量品に交換されて120kgに及ぶ軽量化を果たしたレーシングバージョン。
  • 911ターボ3.6(1993年発売) - 3.6LのM64エンジンをベースとし360馬力、53kgm。ターボSで用いた「赤キャリ」「スピードライン製3ピース18inホイール」などの装備の他、低められた車高とRSと同タイプのリアセンターバンパーなどによって迫力を増している。マフラーは左右2本出しとされたが助手席側マフラーエンドからのみ排気され運転席側マフラーエンドはウェイストゲートからの大気開放のラインとなっている。
  • カレラRS3.8(1992年少数生産) - 空冷ポルシェ最大の排気量である3.8L。

四代目 993型(1993年-1997年)

993型

空冷最後のモデルとなる。キャビン周りに964型のシルエットを残しながら、太腿とも呼ばれたフロントフェンダーの峰は低くなり、テールエンドのデザインも一新された。拡大されたリアフェンダーはマフラー容量の増大と、左右独立等長のエキゾーストをも実現し、排気系の改善に寄与した。リアサスペンションに採用されたマルチリンクのスペースを確保するため、リアフェンダーもそれまでよりさらに拡幅される(964までのNAモデルは日本の5ナンバー枠に収まる)。1989年にハーム・ラガーイのデザインで発表されたコンセプトカー「ポルシェ・パナメリカーナ」との共通点を多く見受けることができる。

このモデルまではナローから連綿と続く室内レイアウトが共通であり、「ポルシェを着る」とされたタイト感が残る最後のモデルとも言える。ただし964型同様エンジン音は静かで快適性は向上している。「最後の空冷」のキーワードで中古での価格も低くない。

1996年、可変吸気機構である「バリオラム」を装備、カレラで13馬力アップした285馬力、カレラ4で15馬力アップした300馬力となった。ボッシュのHIDランプシステム「リトロニック」をオプション設定。タルガ追加、脱着式だった964型までとは異なりベバスト(Webasto [18])製電動スライディング・グラストップに変更されスタイルもクーペのようなファストバックとなったが、開放感は964型までのタルガのほうが若干上である。

1997年、キーホールを照らす照明がメーターパネル下部に追加された。

  • カレラ4(1995年発売) - ビスカスカップリング方式の4WDシステムを搭載した。本国ではカレラと同様で排気量は3.6Lだが、日本国内モデルのみRSと同じ3.8Lエンジンを搭載する。
  • 911ターボ(1995年発売) - 3.6LのM64型エンジンに片バンクずつkkk製k16型タービンとインタークーラーを装着してツインターボとし最高出力は408馬力、54.0kgm。市販モデルの911で初めてターボ+4WDが実現、959、またボット博士が実現しようとした965(964カレラ4ベースのターボモデル)の大量生産モデルと見ることもできる。駆動方式はビスカスカップリングを用いた4輪駆動とされたが、普段はフロントへのトルク配分は5%とされRRのハンドリングを崩さないように配慮されている。インタークーラーはエンジンルーム一面を覆うまでに拡大され、オイルフィラーキャップを外すのが困難になった。外観ではノーマルボディよりも60mmワイドとされたリアフェンダーとレッド一色とされたリアガーニッシュ・ライト周り、フロントのホワイトウィンカーなどが特色の一つ。ターボの特徴の一つである固定式リアウィングは前型までのトレータイプからボディーに沿って後縁がなだらかに下がり、色もボディー同色とされたため目立たなくなっている。また大型化されたインタークーラーにあわせてリアウィングのグリルも同様に大型化された。このグリルはエンジンからの熱害を受けやすく、殆どの個体のグリルに歪みが生じている。拡幅されたリアフェンダースペースを利用し、排気系は左右独立とされたため、このタイプよりマフラー両エンドから排気される構造に変更された。
  • カレラ4S(1996年発売) - ワイドボディー+ターボの足回りを纏って登場したが本国同様3.6Lエンジンのため日本国内ではカレラ4>カレラ4Sのパワー逆転現象が起きた。
  • 911ターボS(1996年発売) - 911GT2から流用された430馬力M64/60エンジンが搭載される。トランスミッションはカレラ4用G64/21型を改良した専用。
  • カレラS(1997年発売) - 往年の356のグリルを彷彿とさせる、スプリットルーバーにワイドボディーを纏ったモデル。

五代目 996型(1997年-2004年)

996型

1997年、996型が発表された時に最大の注目を集めたのは、それまでトレードマーク的存在の1つとされていた空冷エンジンが、欧州の環境対策基準をはじめとする世界的な環境問題への対処を主な目的として水冷化されたことである。それに伴いヘッド周りも全面改装され、新しいDOHCヘッドと組み合わせられた。排気量は3,387ccと小型化されたにもかかわらず300馬力、35.7kgmを発生した。ボディの大型化・水冷化に伴うエンジンの補記類の設置、更に衝突安全基準の適合のための安全装備の充実で先代の993型と比較して重量は増加したが、それでも同じカレラ2との比較で70kgの増加に留まっている。サスペンション形式はフロントはストラット式、リアはマルチリンク式と名目は993型と変わっていないが、フロントはアライメントの適正化、リアに至ってはセミトレーリングアームに三本のアームを組み合わせた変則マルチリンク構造となっている。

これまでの911のラインナップを踏襲し、オープンスタイルのカブリオレ、スライディング式グラスルーフを持つタルガがある。タルガに関しては、993型タルガがカブリオレの車体を土台に設計されていたのに対し、996型タルガではクーペの車体を土台にしているために車体剛性が向上した。

また開発コスト削減のために車体前方部分がボクスターと共通であり、最初にボクスターで採用された涙滴型ヘッドライトがそのまま996型にも採用された結果、ポルシェらしさの1つとされていた丸目型ヘッドライトが廃止された。2002年モデルでは、差別化のためにボクスターとは異なるデザインのヘッドライトが採用され、排気量も3.4L→3.6Lに拡大し、増大したパワーに対応してティプトロニックSも従来のZF製からメルセデス・ベンツ製に変更された。

  • カレラ4 - 4WDモデル。
  • カレラ4S - ターボボディに4WDシステムと3.6L NAエンジンを組み合わせたモデル。
  • 911GT3(1999年発売) - ワンメイクレースであるポルシェカップへの参戦を希望するユーザーや、GTレース向けに限定生産されたモデル。エンジンはノーマルの3.4Lから200cc増量しているが、クランクケースをルマンに参戦していたGT1のものから拝借している。レース用ユニットらしく高回転型ユニットで、370馬力を7,000回転で発揮するスペックを持つ。
  • 911ターボ(2000年発売) - 3.4Lから3.6Lに拡大され、更に片バンクにつき一基のターボとインタークーラーを割り振られ、420馬力を発生する。993型に引き続き駆動系にビスカスカップリング式フルタイム4WDを採用。後輪のスリップを検知し、フロントへの駆動力を増大させる制御を行っている。もともとリアにエンジンを搭載している911にとって主駆動輪である後輪へのトラクションは十分で、あとはコントロールを容易にするだけの駆動力をフロントに供給できればよかった。簡易的な構造であるがために、4WDシステム単体では約50kgの重量増に留まっている。
  • 911ターボS - ターボを更にハイパワー化したモデル。
  • 911GT2(2001年発売) - カタログに載る量産車種として最強のスペックを持って発売された。911ターボをベースとしてエンジンパワーを約40馬力上乗せし、軽量化のために4WDシステムを撤廃したことで車重を1,470kgとした。ポルシェのオートマチックトランスミッション、ティプトロニックSはオプションにはなく、マニュアルトランスミッションのみと、徹底的に走りのみに特化したモデルである。

六代目 997型(2004年-)

997型 GT3
JLMC仕様車

2004年夏発売された現行モデル。996型で不評だった涙滴型ヘッドランプの廃止と、内装のデザイン変更と質感向上を求めたモデルで、さらに後部コンビネーションランプと前後バンパー部分のデザインも変更。996型の部品から80%以上を刷新したとも言われているが、大部分のボディ骨格や一部のボディパネル、3.6Lエンジンや5速ティプトロニックなどは踏襲されている。オプションとして新たに開発されたPASM、スポーツクロノパッケージなど豊富なバリエーションも特徴である。

グレード展開は以下の通りで、基本的に6速マニュアルトランスミッションと5速ティプトロニックSオートマチックトランスミッションがそれぞれ用意されている。

  • 911カレラ(2004年発売) - 996型の後期型カレラの3.6Lエンジンをベースにした325psエンジンを搭載する。
  • 911カレラS(2004年発売) - 新たに開発された3.8L、355psのエンジンを搭載する。
  • 911カレラ4
  • 911カレラ4S - 女子テニスのポルシェ・グランプリの優勝賞品でもある。
  • 911ターボ
  • 911GT3 - 6速マニュアルトランスミッションのみ。
  • 911GT3RS - 6速マニュアルトランスミッションのみ。
  • 911GT2 - 6速マニュアルトランスミッションのみ。
  • 911GT2RS - 6速マニュアルトランスミッションのみ。

2007年7月に10万台目の車輌がラインオフされ、歴代モデルの中で最も短期間に10万台の生産達成となった[19]。同年11月にはドイツの業界誌『Auto Zeitung(アウト・ツァイトング)』の「Auto Trophy」で「Best Sports Automobile」および「Best Cabriolet over 30,000 Euro」部門でそれぞれ首位を獲得し、翌2008年1月にはドイツの自動車雑誌『auto, motor und sport(アウトモートアウントシュポルト)』でカブリオレ部門の「Best Automobile in the World」を受賞[20]

2008年6月にマイナーチェンジが発表され、NAモデルには今までと違う直噴型エンジンが搭載され、さらにPDKと呼ばれる7速のデュアルクラッチトランスミッションも選択ができるようになった。このPDKが採用されたモデルでは、従来のティプトロニックSは廃止となる。

インターミディエイトシャフトの破損について

エンジン内の部品の一つであるインターミディエイトシャフトの不具合がブログ、掲示板、国土交通省の自動車不具合情報ホットライン等で報告されている。ポルシェは本不具合に対する公式見解を発表していないが、利用者からの情報を総合すると不具合は996型及び997型で発生しているようである。2008年6月の997型マイナーチェンジで抜本的な対策がなされたとの情報もある。本不具合は車両走行中にシャフトが突然破損するものであり、一旦破損するとエンジンは動作不可能となる。復旧にはエンジンの交換が必要である。なお2010年6月現在、ポルシェは本件に関するリコールを届け出ていない。

脚注

  1. ^ 356は設計当初2座席であり、2年生産された後に補助座席として後部2座席が付け足されているために狭い。
  2. ^ 低騒音と高出力を兼ね備えており将来性があるとの観点から、従来のプッシュロッド式に換えて採用された。
  3. ^ 排気量は大きなマージンを取りかつ手の届きやすい価格にするためこの排気量になったものの、後の市場の要求次第で2.7Lくらいまで拡大できるようになっていた。
  4. ^ 4気筒のカレラエンジンではベベルギア駆動であった騒音が大きく、ベルト駆動はシンプルで静粛であるが当時としてはハンス・グラースしか採用しておらずリスクを負うべきではないとの結論になり、チェーン駆動となった。高性能エンジンはフライホイールが軽くチェーンに大きな加速力が掛かるため、当時最高品質であったレノルド(Renold )製を採用した。
  5. ^ 水平対向エンジンは横幅があるため横Gが掛かった時のオイルレベル変動が激しい。ウエットサンプでオイルパンを深く取ればエンジンの重心を上げねばならず、4気筒エンジンでもカレラにはドライサンプが採用されていた。
  6. ^ 当初はアルミ合金、試作段階では鋳鉄製であった。
  7. ^ 従来使われていたシロッコ式は非常に安価にフォルクスワーゲンから購入できたが効率が劣り、また風が左列に行くので右列用にダクトを設けるか右寄りにファンを移動する対策が必要になっていた。
  8. ^ 初期の説明書にはフロントキャンバー4'、リアキャンバー1°6'、フロントトーイン15〜20'、リアトーイン0〜-2'、キャスター7°45'という数字が掲載されている。
  9. ^ Sはスポーツを意味する。
  10. ^ 906の901/20型はクランクケースがマグネシウム製であるがこれはアルミニウム製である点が異なる。
  11. ^ Tはツーリングを意味する。
  12. ^ 一般の911は鍛造クランクシャフトを採用している。
  13. ^ スポルトマチックは911/06型、US仕様は911/07型、US仕様スポルトマチックは911/08型。
  14. ^ スポルトマチックは911/04型。
  15. ^ ポルシェ・917からフィードバックされた技術でアルミニウムシリンダーにニッケルとシリコンの化合物を付着させることでこの大径ボアを実現している。
  16. ^ 本当のところはポルシェシンクロトランスミッションの許容量がターボのパワーに耐え切れず、やむなく4速にしたというのが通説。
  17. ^ マグネシウム合金製。
  18. ^ 日本ではウェバストとも呼ばれていた
  19. ^ 公式サイト、プレスリリース、2007年7月12日
  20. ^ 公式サイト、プレスリリース、2008年1月31日

関連項目

  • ポルシェ・356
  • ポルシェ・ボクスター
  • ポルシェ・ケイマン
  • スーパーカー

外部リンク

ウィキメディア・コモンズ
  • ポルシェジャパンによる公式HP
ポルシェ A.G. 車両年表 1960年-
タイプ 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1
エントリーモデル 912 924 968 ケイマン
356 914 944 ボクスター(986) ボクスター(987)
911シリーズ 911(901) 911(930) 911(964) 911(993) 911(996) 911(997)
GT 928
セダン パナメーラ
SUV カイエン
スーパーカー 959 カレラGT
コンセプトカー: 356/1 ・ 114 ・ 695 ・ 901 ・ 989 ・ パナメリカーナ
モータースポーツ: 64 ・ 360 ・ 550 ・ 718 ・ 787 ・ 804 ・ 904 ・ 906 ・ 907 ・ 908 ・ 909 ・ 910 ・ 914-6 GT ・ 917 ・ 934 ・ 935 ・ 936 ・ 953 ・ 956 ・ 961 ・ 962 ・ GT1 ・ WSC95 ・ RS Spyder
人物: フェルディナント・ポルシェ ・ フェリー・ポルシェ ・ フェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェ ・ フェルディナント・ピエヒ
トラクター: ユニオール ・ スーパー
その他: オフィシャルウェブサイト | ポルシェデザイン | フォルクスワーゲン | ポルシェのエンジン一覧 | ティプトロニック | ヴァリオカム | RUF


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